想定しない汗!?デオドラントがない場合でも対処法はある
主に夏場、汗っかきの人は自分の好むデオドランドスプレー、シートを備えているものですよね。
でも持ち忘れてしまったり、朝は涼しかったのに昼には暑さが戻ってきたり、はたまた暖房が暑すぎたり、想定していないタイミングで汗をかいてしまう事があります。
汗そのものは無臭ですが、毛穴付近から出てくる汗には微量のタンパク質、アンモニアなどが含まれているんですよね。
それらを含む汗が皮膚上に居る細菌によって分解されることによって臭いが発生します。
特に服で蒸れてしまう脇、脇汗は臭いの原因になりがちです。
出先なのに汗をかいてしまって、制汗剤も忘れてしまった、そんな時でも臭いの発生を抑える方法が幾つかあります。
【参考文献】https://www.shiseido.co.jp/dp/column/vol39.html
さくらひふ科院長の西條忍先生が汗のメカニズムと臭いについて解説してくれています。
多汗症の汗は全然ひかない!まずは体温を下げること
まず、そもそもの体温を下げる方法です。
汗は上がり過ぎている体温を下げる為、体が体温調節機能として分泌しています。
汗が止まらない時は今の状況、暑い状況をそのまま放置し続けず、何らかの対処をしてみましょう。
手首や膝の裏、首筋、太ももの間など太い血管が通っている所を冷やすと皮膚体温が速く下がります。
コンビニよりも設置数の多い自動販売機で冷たい飲み物さえ買えば出来る為、最も手軽な方法です。
コンビニやドラッグストアさえあればそもそも制汗剤が買えてしまいますが、もし使いたいものが売り切れていた場合には保冷剤とそれを包むタオルを買って、体温を下げてみましょう。
出てしまた汗を放置しなければ臭いが防げるのでは?
次に、かいてしまった汗への対処です。
先述の通り、汗は放置することで細菌によって臭いが発生します。
つまり、細菌さえ繁殖させなければ臭いは発生しません。
この時強い味方になるのがアルコール消毒用品です。
皮膚に使う事を想定されている除菌アルコールティッシュ、医療現場でも使われている手指用のアルコール消毒ジェルなど、アルコール消毒製品には殺菌・除菌作用が備わりつつも、肌への保護成分が含まれている事があります。
除菌アルコールティッシュはそのまま、ジェルはティッシュかガーゼ、コットンに少量浸みこませて脇を拭いましょう。
また、キンカンや液体ムヒといった、虫さされ用医薬品にもアルコールの別名であるエタノールが含まれており、殺菌作用が備わっている品が多く存在しています。
これらは独特の匂いはあるものの、すえた汗の臭いと比べればまだ清涼感のある匂いです。
背に腹は代えられない状況下で有効です。
このように臭い消しに便利なアルコール消毒製品ですが、体質によりかぶれてしまう人も居ます。
お酒に弱い、アルコールパッチテストで赤くなってしまった人は土壇場での使用は避けて下さい。
運動後にはアルコール消毒!体質改善と殺菌効果の合わせ技
汗をかいたら臭ってしまう、そんな脇汗由来の体臭は季節を問わず問題になりがちです。
しかし日頃の生活習慣を意識して変える事で、根本的な汗に関する体質改善を目指せます。
汗にはサラサラとした良い汗と、ベタベタとして臭いの元となる悪い汗があります。
脇汗が臭う人は、後者の汗をかきがちな体質になってしまっている事に一因があります。
汗の質には汗を流す器官、汗腺のろ過機能が大きく関わっています。
この汗腺は血液の液体成分、血漿から汗を作り出します。
そして体温が上がり過ぎた時に皮膚へ汗を流し、汗が気化する事によって熱が放出され、体温が下がる仕組みになっています。
この時、質の良い汗腺は血漿を汗にする時、血漿に含まれている水分以外の成分、ミネラルなどをろ過して血管に戻し、水分だけを汗にします。
その為、出てくる汗は殆ど水分だけになり、サラサラとしています。
これが良い汗の仕組みです。
さて、この汗腺の機能は、汗をあまりかかない事で衰えてしまいます。
ろ過が不十分で、ミネラルなどが残ったままの濃い汗が流れる事で皮膚の雑菌が繁殖、臭う汗になってしまうのです。
運動不足やエアコンの普及で、意識的に行動しなければ汗をかかなくなったことで臭う体質になってしまう人も少なくありません。
つまり汗腺の働きを良くすることが、汗由来の臭い改善につながります。
有酸素運動でじっくりと体を温めて汗をかく、半身浴や岩盤浴、サウナも勿論有効です。
汗をたくさんかけるように、また水分不足に陥らないように入浴の前後でコップ1杯ほどの水分を摂っておくのも効果的です。
体質改善をしている時の臭いはどうやって抑える?
汗の臭い対策をしたいのに、汗をかく事が重要になってしまうのは本末転倒に思われるかもしれません。
そんな体質改善中の汗の臭い対策には、アルコール消毒用品が適しています。
これもまた根本的に、汗を分解する雑菌を殺菌してしまえば臭わなくなる、という解決方法です。
速効性があるので、アルコール消毒用品さえ外出先に持って行けば、気になった時にトイレなどですぐに対応できます。
効果は2~3時間程持ちます。
消毒用エタノールやアルコールジェルなど、人体に使うのを想定しているアルコール消毒用品を用意し、コットンなどに浸みこませて塗りましょう。
ただし、アルコールにかぶれる体質の人は無理に使い続けると危険です。
そういった方にはミョウバンを溶いた水、ミョウバン水がおすすめです。
ミョウバンは酸性、脇の臭いを発生させる雑菌はアルカリ性なので、殺菌作用や菌の増殖を防ぐ効果があります。
このように臭い問題は、昔から色々な対処が考案されています。
自分の体質に合った臭い対策を探してみましょう。
脇汗対策におすすめできるアルコール消毒アイテムの選び方
気になる
- 汗の臭い
- 脇汗の臭い
の対策は、一般的には制汗剤であるデオドラントシートやスプレーが主流です。
しかしシートやスプレーには、より強い涼感を得る為にメントールを配合されている事が多くあります。
脇汗の出てくる脇の下は皮膚が薄いので温感冷感がダイレクトに伝わり、汗腺も集中している皮膚の中ではとてもデリケートな部分です。
ヒヤッとする冷感刺激が苦手で使いにくい人には、アルコール消毒用品を利用した消臭方法がオススメです。
アルコールの殺菌作用は即効性があり、悪臭の原因となる雑菌を取り除くのでダイレクトに臭いの元を断つことができます。
主には食品や機器の殺菌消毒に使われるイメージのあるアルコール消毒用品ですが、医療用のみならず家庭の手洗い用、脇汗対策用にも数多く商品が展開しています。
アルコールの濃度って関係ある?効果的な濃度をを知りたい
まず、アルコール濃度です。
一般的に、殺菌効果を求めるならばアルコール濃度60%~95%の物を選びましょう。
この濃度ならば肌荒れの心配が少なく、殺菌効果も期待できます。
%表記が無い場合も、60%を越える商品には消防法によって火気厳禁マークの記載が義務付けられています。
裏面やラベルを見て、マークの記載を確認しましょう。
被れたりしない?肌荒れの問題を検証
次に肌荒れの問題です。
アルコールは揮発しやすい為、皮膚の乾燥も促してしまいます。
その為、使い続けると肌が乾燥しやすくなる、また皮膚常在菌も殺してしまう事から肌のバリア機能が低下してしまう恐れもあります。
それらのデメリットを補えるように、保湿成分が含まれている商品が望ましいです。
肌の乾燥、バリア機能は肌の保湿力に大きく影響されます。
保湿成分の無いアルコール消毒商品は、つけた後に皮膚が強くつっぱり、揮発による乾燥が実感できるほど、手やつけた皮膚がサラサラになります。
保湿成分が入っていれば、消毒効果はありつつも肌がしっとり落ち着きます。
脇は顔と違い、乾燥してもあまり気にならない部位かもしれません。
ですが美容面というよりも肌の健康の為に、保湿成分が入った物を選ぶ方が良いでしょう。
アルコール消毒をすると、脇の雑菌は90%~99%殺菌され、臭いも確かに無くなります。
ただし細菌はおよそ30分に1回の頻度で細胞分裂をする為、残った細菌は長くとも7時間ほどで細菌数が元に戻ります。
常時臭いがしないようにしたい場合、数時間おきの消毒が必要になりますが、先述のようにアルコール消毒にもデメリットがあります。
日中だけ、臭いが気になる時だけなど、効果的に使っていきましょう。
やりすぎはNG。アルコール消毒を使った脇汗対策の注意点
脇汗由来の臭い対策として、アルコール消毒は即効性と確かな効果実感に定評があります。
臭いの元となっている、脇汗に繁殖した細菌を殺菌することで臭いを断つこの方法は、確かに効果的ですが同時に肌へのリスクも存在しています。
体中の皮膚の中で、脇の下は皮膚が薄くデリケートな部分です。
効果が高いからと言ってあまり頻繁にアルコール消毒を繰り返してしまうと、
- 皮膚常在菌の死滅によって肌のバリア機能が下がる
- 皮膚が乾燥してゴワゴワと荒れた状態になってしまう
これらの症状が起こる可能性があります。
また、人によってどれだけアルコールを分解できるかは体質で決まっています。
- お酒に弱い人
- アルコールのパッチテストで皮膚が真っ赤になってしまった人
- 一度アルコール消毒を試して皮膚がかぶれてしまった人
使用できないという人はあきらめる前にコレを試してみて
脇汗対策として使用できるのはアルコール消毒だけではありません。
手軽さこそ一歩劣りますが、コストや用途の幅広さでリードするのがミョウバン水です。
酸性のミョウバン水はアルカリ性の雑菌を中和・殺菌する為に、アルコール消毒と同様に殺菌作用があります。
その効果や即効性はアルコール消毒に見劣りしません。
やはり皮膚常在菌も殺してしまうので保湿ケアは別途必要になりますが、アルコール消毒がNGだった人でも使える可能性があります。
逆に、アルコールのパッチテストは大丈夫だったがミョウバン水は駄目だった、というパターンもあり得ますので使う前のパッチテストは必ず行ってください。
ミョウバン水の作り方や保存方法とは
粉末のミョウバンは商品によりますが100gから販売されています。
粉末ミョウバンを15gを500mlの水道水に溶かして白濁させ、半日以上放置して透明になったものがミョウバン水の原液です。
100gのミョウバンならおよそ6回分の原液が作れる計算になります。
更に実際に使用する際はこの原液を別容器に入れ、20~30倍に希釈するので1袋でもとても長持ちします。
原液ミョウバン水は冷暗所での保存でおよそ1年、希釈したミョウバン水は冷蔵保存でおよそ1ヶ月保存できます。
原液ミョウバン水 | 希釈したミョウバン水 |
---|---|
冷暗所での保存でおよそ1年 | 冷蔵保存でおよそ1ヶ月 |

あくまで目安の期間ですので、透明な液体に目に見えた異常、臭いを感じたら破棄しましょう。
パッチテストも希釈したミョウバン水で行ってください。
ミョウバン水は直接脇に塗る他にも、洗濯時に入れる、靴や靴下に噴射する、風呂に入れるなど幅広い使用方法で消臭力を発揮します。
どちらもパッチテストで問題なかった人は、即効性や出先での使用する手軽さではアルコール消毒、家庭の中ではミョウバン水など、使い分けをするのも良いでしょう。
脇汗にはアルコール消毒かデオドラントか、効果の違いについて
アルコール消毒用品は脇汗が臭ってしまう時、ひと塗りで臭いを除去できてしまう優れものです。
しかし汗の量を調節することは出来ず、汗をよくかく時期や暑い場所では消毒後に出てきた汗によって、2時間から4時間ほどでまた臭いの元となる雑菌が繁殖する下地が出来てしまいます。
対してデオドラント製品は汗の放出を抑え、臭いそのものが出てこないよう予防するものです。

その為、既に臭いを放っている状態で使用しても実は本来の効果が発揮できません。
デオドラントは臭いの予防、アルコール消毒は臭いの対処、効果が似ているようで実は最適な使い所は異なっています。
デオドラント | アルコール消毒 |
---|---|
臭いの予防 | 臭いの対処 |
では、アルコール消毒をしてからデオドラントをすればより完璧な臭い対策になるのでしょうか。
両方使えば最強では?予防をして対処をするってどうかな
どちらもパッチテストで問題が無かった場合、確かに高い効果は得られますが、この方法を毎日使う事はあまり推奨できません。
アルコールは気化する際に肌の乾燥を促します。
皮膚常在菌も排除する強力な殺菌と乾燥によって肌のバリア力が下がった肌に、更にデオドラントの成分を塗りこめるのはデリケートな脇の肌に良い状態とは言えません。
保湿成分入りのアルコール消毒用品を選ぶなど、保湿を意識しなければ黒ずみやダメージ肌の原因となります。
更に脇汗が臭う原因は、脇にあるアポクリン汗腺から出てくる汗が水分だけではなくタンパク質やアンモニア、老廃物を含んだ濃い汗で、それらが細菌によって分解されることで悪臭を放つ為です。
汗腺の働きが活発ならば、こうした水分以外の成分はこまめに排出され、1回ごとの排出時の濃度が下がる為あまり雑菌は繁殖しません。
しかし、汗腺の働きが弱りあまり汗をかかなくなると1回ごとの排出が鈍くなり、より成分が濃く、雑菌の繁殖しやすい汗が流れるようになってしまいます。
デオドラントの抑制で臭いが抑えられても、同時に臭いをより濃厚にしてしまっては本末転倒です。
やっぱり効果があるのは防ぐのではなく汗の質を高めること
汗腺の働きを良くするには、有酸素運動、半身浴などじっくりと時間をかけて体を温めて汗をかく方法が有効です。
汗をかき、ぬるめのお湯や水でさっぱりと流し、軽めに拭いて自然乾燥をすると、汗腺の働きの活発な人からはデトックスが済み、水以外の成分がろ過されたサラサラ汗が出てきます。
汗腺の働きを運動不足や連日のデオドラントで制汗していた人は、最初はすぐに良い汗が出ないかもしれません。
同様の手順を日頃繰り返していく事で、2~3週間で良い汗がかける汗腺に変わっていくでしょう。