耳垢が湿っていると80%以上はワキガ!専門家が教える3つのポイント

耳垢が湿っているとワキガ?

セルフチェックの方法を3つ紹介

日本人はニオイに敏感な民族だと言われますが、実際、自分の体臭が周りに迷惑をかけていないかと心配になる人は少なくないようですね。

それでいて自分のニオイというのは鼻が慣れてしまっていて気づきにくいため、確かめる方法がなくて困っている人も。

そこでここではワキガかどうかを確認できる、セルフチェック方法を3つご紹介しましょう。

ワキガのセルフチェックで一番有名なのは、耳垢が湿っているかどうかでしょう。

ワキガ臭の原因となる汗は「アポクリン汗腺」から発せられますが、普通の汗を出す「エクリン汗腺」とは違いアポクリン汗腺は体中どこにでも存在する汗腺ではありません。

主に

  • 乳輪
  • 陰部

に集中して存在しており、その量は人によって様々です。

つまり体質的にアポクリン汗腺の量が多い人はワキガになりやすいということなのですが、実はこのアポクリン汗腺は耳の穴の中にも存在しています。

従って、

耳垢が湿っている=耳の中で汗をかいている=アポクリン汗腺が多い


ということになり、ワキガ体質である可能性が高くなるというわけなんですね。

もう一つのチェック方法は、衣服の脇の部分だけが黄ばんでいるかどうかです。

普通のエクリン汗腺から出る汗でも汗染みはできますが、「リポフスチン」という酸化すると黄色く沈着する色素成分を含むアポクリン汗腺から出る汗は、衣服に付着すると普通の汗染みより濃い黄土色のような染みを作ります。

しかもエクリン汗による汗染みは皮脂の酸化が原因なので油汚れを落とす効果の高い洗剤や重曹を使えば比較的簡単に落とせますが、アポクリン汗によるシミは前述の通り色素成分が原因ですから、一般的な油汚れを落とす方法では落ちてくれません。

一度変色するとなかなか落ちない頑固な汚れになるのも、アポクリン汗の特徴です。

  • 脇汗が多いかどうか
  • 脇毛が多いかどうか

も、ワキガセルフチェックポイントになります。

アポクリン汗腺は毛穴部分にあるため、脇毛が多ければそれだけアポクリン汗腺が多く存在している可能性があります。

またエクリン汗は99%が水分でサラサラなのに対し、アポクリン汗にはタンパク質や脂質、ミネラルなどが多く含まれているため粘着性があります。

このためアポクリン汗は自身では蒸発できず、エクリン汗と一緒になって蒸発する必要があります。

このため脇汗が多くなってしまうのです。

ワキガの可能性があるというだけ

ここに挙げた3つのチェックポイントは、あくまでわきがの可能性があるというだけのこと。

やなさん

「耳垢が湿っているから」とか「脇汗が多いから」といって必ずしもワキガとは限りません。

当てはまると感じる場合は、皮膚科で確認してもらうと良いですね。

ワキガだとどうして耳垢が湿るの?ワキガと耳垢の関係

「一番簡単なワキガのセルフチェック方法は、耳垢を確認すること」とよく言われます。

問題となっているのは脇の下なのに、なんで耳垢??と不思議に思うかもしれませんね。

この関係性を理解するためには、まずワキガが起こるメカニズムを知らなければなりません。

そもそもワキガの原因となっているのは、通常暑い時や運動した時などにかく温度調節のための汗ではなく、緊張やストレスを感じた時にじんわりとかくような汗で、前者を分泌する汗腺を「エクリン汗腺」、後者を分泌する汗腺を「アポクリン汗腺」と呼びます。

前述の通りエクリン汗腺は体温調節のためにあるものなので全身に存在しますが、アポクリン汗腺については何故存在するのかはっきりとしたことは分かっていません。
異性を惹きつけるホルモンを分泌するためとも言われています。

しかしいずれにせよアポクリン汗腺は脇の下や乳輪、陰部などに集中して存在しており、ここから出る汗にはタンパク質や脂質などの成分が多く含まれています。

これらの成分に皮膚の常在菌が取り付いて分解する際に発する臭気ガスが、あのツーンとした強いワキガの臭いなんですね。

この厄介なアポクリン汗腺ですが、誰でも持っているとはいえその量は人によって異なります。

幸いなことにアポクリン汗腺の量が体質的に少ない人はワキガになりにくく、逆に多い人はワキガ体質になるというわけですね。

この汗腺の量が多いと耳にも多くある

そしてアポクリン汗腺の量が多い人は、大抵の場合耳の中に存在する「耳垢腺」も多いと言われています。

この「耳垢腺」はアポクリン汗腺と同じ性質を持つ汗腺で、耳の中にはエクリン汗腺も含め他に汗腺は存在しません。

ココに注目!

つまり常に耳垢が湿っているということは必然的に耳垢腺による汗で湿っているということになり、耳垢腺が多い、つまり体質的にアポクリン汗腺が多いという結論に至るわけですね。

ただ、耳垢腺が少ない人でも耳垢が湿ることはあるでしょう。

例えば、お風呂やプールに入った後は耳の中にも水が入って当然耳垢も湿りますよね。

従って耳垢でセルフチェックする場合はできるだけ耳の中も乾いているであろう状態の時にする方が良いですよ。

また外耳炎などでも耳垢が湿ることがあるので、単に湿っているというよりは、耳垢が黄土色だったりキャラメルが溶けたような状態だったりする場合に、ワキガを疑いましょう。

耳垢の色が濃くてしっとりとしているのは、耳垢腺から分泌される汗にタンパク質などの成分が多く含まれているからで、これが酸化して耳垢を着色している可能性があります。

逆に耳垢が乾いている人は、それだけでワキガの可能性は排除されると言われています。

耳垢とワキガ体質は遺伝子に関係する?

日本人が海外旅行、特に欧米圏へ旅行に行くと感じるのが、町行く人たちの体臭の強さ!

そう、欧米人にはワキガ体質の人が多く、皆が皆そうだから逆に誰もそれを気にしない、というワキガ体質の日本人にとってはうらやましい限りの「お国柄」が確立されているんですね。

ワキガ体質の人は耳垢が湿っている」とよく言われますが、日本と諸外国の統計からも、この事実が裏付けられています。

耳垢には湿型タイプと乾型タイプがあります。

とある日本の研究グループによる研究結果発表によると、この耳垢のタイプの違いは遺伝子と関係していることがわかりました。

より詳しく言うと、「ABCC11」と呼ばれる遺伝子の「rs17822931」という一塩基多型中わずか1塩基の違いが耳垢を湿型タイプと乾型タイプとに分けることが判明しました。

この「rs17822931」はワキガの原因となっているあの「アポクリン汗腺」の量と関係があり、湿った耳垢を形成する「rs17822931」は、同時にワキガにもなりやすい体質を生み出すことが明らかになりました。

つまり耳垢のタイプ、ひいてはワキガ体質かどうかは遺伝子と関係があったわけです。

諸外国のワキガ体質の割合は?

この情報をもとに、各国の耳垢タイプを調べてみると、中南米やアフリカでは90%の人が、またロシアや各ヨーロッパ諸国では80%ほどの人が湿型の耳垢タイプとなっており、人種のるつぼとされるアメリカでは湿型と乾型の比率は5;5の割合になることが分かりました。

世界全体としては圧倒的に湿型タイプが多く、乾型が多いのは東アジアに偏って存在しています。

日本もその1つで、乾型タイプと湿型タイプとではおよそ8:2の割合。

中国北部や韓国ではほぼ100%の人が乾型タイプであることが分かりました。

この数字はそのまま、ワキガ体質の人の割合を示すものとなります。

では何故日本を含め東アジアにのみ乾型タイプの耳垢が多いのか、つまりワキガ体質の人が少ないのかというと、勿論正確なところは分かりませんが、一説ではアフリカから世界各地へ広がっていった人類の中で、数万年前に中国北部やモンゴル周辺に住んでいた人々から突然変異が起こったのではないかと言われています。

つまり元々人類は湿型の耳垢、ワキガ体質であったのに、東洋の一部が突然変異を起こし、そのままそれが遺伝子として受け継がれてきたのだろう、という説です。

親がワキガだと子供もワキガ体質である可能性が高いというのも、この事実に基づいているんですね。

ワキガや耳垢タイプが遺伝する確率は?

自分がワキガかどうかを判断する方法として、「親がワキガ体質かどうか」というポイントがあります。

親がワキガ体質だと子供もワキガになりやすい。

つまりワキガは遺伝によるものであることが多いということですね。

ではどの程度遺伝するのか、その確率を検討してみましょう。

そもそもワキガの原因は、「アポクリン汗腺」の量。

脇や陰部に集中して存在するこの汗腺は、すべての人が持っているもののその量には個人差があります。

アポクリン汗腺の量が多い人は耳の穴にまで多く存在し、その汗のせいで耳垢はいつも湿っていると言われています。

実はこの耳垢のタイプも遺伝すると言われており、湿った耳垢を持つ遺伝子と乾いた耳垢を持つ遺伝子を比べると、湿型は優性(顕性)遺伝、乾型は劣性(潜性)遺伝であることが分かっています。

つまりアポクリン汗腺量の多い遺伝子が優性遺伝、アポクリン汗腺量の少ない遺伝子が劣性遺伝、というわけですね。

ちなみに

この「優性(顕性)遺伝子」と「劣性(潜性)遺伝子」について簡単に説明しておきますと、1つの遺伝子座に相反する遺伝子が存在した場合に、形質が表れやすい方が「優性遺伝子」、表れにくい方が「劣性遺伝子」ということです。

例えば髪の毛のくせなども優性遺伝子で、片親のみがくせ毛であった場合でも70%の確率で子供はくせ毛になるとされています。

ではワキガの場合はどうかというと、両親ともにワキガの場合、子どもに遺伝する確率は80%、片親だけがワキガの場合には50%の確率で子供にワキガが遺伝すると言われています。

これはかなりの確率なので、親にワキガ体質がある人にとっては非常につらい事実ではありますが、優性遺伝であっても100%遺伝するわけではない、というのが救いですね。

実際、両親ともワキガでも子供は発症しないケースもありますし、逆に親はワキガでないのに子供がワキガを発症することもあります。

ではこの遺伝子を別にしたワキガの有無の原因は何かというと、やはり食生活と密接な関係があります。

欧米人の体臭が強いのは、ワキガ体質であることは勿論、動物性たんぱく質や脂質の多い食事にも原因があるとされており、一方野菜や植物性たんぱく質を中心とした和食を好む日本人は体臭が少ないと言われているのです。

従って、潜在的にワキガ体質を持っていたとしても、食生活をはじめとした正しい生活習慣を維持していれば、発症する可能性を抑えたり、完治したりする事は難しいですが、多少なりともニオイを低減することができるかもしれません。

ワキガと汗臭さは別物!その違いとは?

ワキガと体臭は別物
自分自身では気づきにくいのが体臭の厄介なところ。

そのため脇汗をじっとりとかいている時やシャツの脇部分に黄色いシミができていることに気づいた時などに、「もしかして私、ワキガかも……」と心配になる人も少なくないようですね。

しかしまず覚えておきたいのは、「脇臭」と「ワキガ」は似て非なるもの。

「ワキガ」は体質ですが、「脇臭」は状況によって誰にでも起こりうる一時的なニオイです。

「脇臭」の原因になっているのは、脇をはじめ体の至る所に存在する「エクリン汗腺」からでる汗で、暑い時や運動した時などに体温調節のために分泌されます。

この汗は99%が水分なのですが、汗腺から分泌される際に一緒に皮脂や老廃物も流れ出るため、これに皮膚の常在菌が取り付いて分解する際に臭気ガスを発生させます。

「汗臭い」と表現されるニオイとはいえ、それほど強烈ではなくシャワーを浴びたり汗を拭き取ったりするだけでも臭いの元はなくなり、周囲に不快感を与えることはありません。

一方「ワキガ」の原因は緊張した時やストレスを感じた時にじんわりと分泌される「アポクリン汗腺」による汗で、特に脇に多く存在しているため「腋臭」となって現れるわけです。

このアポクリン汗も本来無臭なのですが、脂質やタンパク質が含まれているためこれが皮膚の常在菌によって分解されるとワキガ特有の悪臭ガスが発生します。

  • 玉ねぎのような臭い
  • 鉛筆の芯のような臭い
  • ドブのような臭い

などと表現されることが多いですが、いずれにしても強いツーンとした臭いで周囲の人もすぐにそれと気づきます。

シャワーで洗い流せば一時的に臭いは治まりますが、その後少しでも脇汗をかけばすぐにまた臭いが発するため、状況によって臭いの強さに違いはあれど基本的にはいつもワキガ臭を発しています。

これが単なる汗臭さとは異なる、ワキガの非常に厄介なところなんですね。