健康保険が適用できる治療かどうかの判断基準とは?保険が使えないのは何故なのか

保険が適用できる治療

重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合は保険治療の対象となる

脇汗の治療に健康保険が使えるかどうかですが、結論を言えば重度の原発性腋窩多汗症だと診断された場合は、健康保険での治療が可能となります。

原発性腋窩多汗症は局所的に汗が多い人の中でも、脇汗の量が多く日常生活に支障をきたしている場合を指します。

多汗症は全身から汗が多く出る場合と、手のひらや足の裏、脇の下など局所的に汗が多く出る場合があります。

全身から汗が出やすい場合は全身多汗症で、手や足など部分的に汗が多いタイプが局所性多汗症です。

診断においては多汗症の原因の有無によって判断される

多汗症は、原因があるかどうかでおおまかに分けられます。

何らかの病気が原因で多汗症になっている場合は続発性多汗症で、特に病気が原因というわけではない場合が原発性多汗症です。

原発性の局所多汗症で、脇の下から汗が多い人が、原発性腋窩多汗症というわけです。

健康保険で多汗症の治療ができるのは脇のみで、手のひらから足の裏などから汗が多い場合は、原発性腋窩多汗症と同じく原発性局所多汗症であっても保険適用とはなりません。

なお基礎疾患がある続発性多汗症は、もちろん脇汗の治療よりも基礎疾患の治療が大切です。

健康保険で治療できるかの診断は、日常生活に支障が出ているかどうかが重要視されます。

脇の下からは誰でも汗が出ます。もともと人の体は汗腺の数が多い場所と少ない場所があり、例えば唇は汗腺を持ちませんし、脇下はもともと汗腺の数が多く誰でも汗をかきやすい場所です。

そのため、日常生活に影響が出るレベルなのかどうかも、大切な判断基準となります。

自分は条件に当てはまると思ったら、まずはクリニックを受診してみましょう。

原発性腋窩多汗症の診断や治療は皮膚科、あるいは美容皮膚科で行えます。

ただ美容皮膚科の場合は保険診療を行わない場合もあるので、健康診断が利用できるか知りたい場合は健康保険を使えるクリニックを選びましょう。

健康に問題がなく、汗が増えてしまうような病気を持っておらず、日常生活に悪影響が出るレベルで脇汗に悩まされているとなれば、それは原発性腋窩多汗症という治療が必要な病気です。

多汗症はストレスが原因で悪化してしまうこともあるので、悩み続けるよりはまず皮膚科を受診して原発性腋窩多汗症かどうかを診断してもらってください。

治療が必要であれば、そのまま健康保険で治療を始めれば良いですし、健康保険の適用とはならなくても、自由診療で脇汗を軽減することはできます。

健康保険が使えなければ金銭的な負担は増大しますが、悩み続けるよりはずっといいはずです。

塗り薬は健康保険が使えない?

原発性腋窩多汗症の治療は

  • 塗り薬
  • ボトックス
  • 手術

が一般的です。

そしてすぐに試せるのが塗り薬ですが、この薬は健康保険が使えません。

皮膚科で処方される原発性腋窩多汗症の塗り薬は、主に塩化アルミニウム溶液です。

クリニックで出される塩化アルミニウム溶液は健康保険の対象となる薬がなく、院内製剤されたものになるためです。

といっても値段は医薬部外品や個人輸入したものよりは安いことが多いです。

健康保険が使えないからといって、ためらうほどの金額ではないので安心してくださいね。

塗るだけでいいの?塩化アルミニウム溶剤の効果とは

塩化アルミニウムの効果
塩化アルミニウム溶剤を脇の下に塗ると、汗腺がせき止められて汗の量を減らすことができます。

ドラッグストアなどで購入できる塩化アルミニウム入りのデオドランドは塩化アルミニウムの濃度が低いため、医師から処方してもらった塗り薬のほうが効果は高いです。

医薬部外品は濃度の高いものでも10%程度となりますが、皮膚科で処方されるのは通常20%~30%濃度のものになります。

これは脇汗だけではなく、足の裏や手足の多汗症に悩む場合でも用いられることも多いのですが、その場合はもっと高い濃度のものが処方されることもあります。

塩化アルミニウム溶液は値段が安く、塗るだけで良いため多汗症の治療としては非常にメジャーな薬です。

使い方も簡単で、夜清潔にした脇の下に塗って眠り、朝に洗い流すというものです。

最初は毎日使う必要がありますが、使っているうちに数日効果が持続するようになります。

ただ、刺激性があるため人によっては最初強いかゆみを感じることがあり、中には炎症を起こしてしまう人もいます。

医薬部外品ではあまり濃度の高いものが購入できないのはこのためです。

濃度・効果が高いものはクリニックでしか手に入らない?

それではクリニックに行かなければ、効果の高い塩化アルミニウム溶液は手に入らないかというと、そうではありません。

個人が自分で使う分には、海外の市販薬を個人輸入しても問題ありませんから、日本より濃度の高い海外の市販薬を個人輸入で入手している人もいます。

ただ肌が弱い人は炎症を起こしてしまう可能性があるので、医師に診てもらったほうが安心して使うことができるでしょう。

個人輸入の場合はクリニックに行く必要がなく入手は簡単ですが、送料がかかるので皮膚科に処方してもらうよりは高額になります。

塩化アルミニウム溶液肌に合わない人もいますし、人によって効果にも差が出てきます。

ですが値段も使い方も手軽ですから、脇汗に悩む人は一度挑戦してみましょう。

あまり知られていないのがボトックスは健康保険が使えるって事!

ボトックスは保険が使える
原発性腋窩多汗症治療として健康保険が使える治療方法に、ボトックス注射があります。

ボトックス治療が脇汗治療の対象となったのは比較的近年で、2012年からのことです。

それだけ脇汗には悩む人が多く、脇汗による問題は社会的な損失にも繋がっていることの現れでしょう。

ボトックスと聞くとシワ対策など美容関係で使われるイメージが強いかもしれまあせんが、脇汗はもちろんワキガにも効果がある治療です。

通常交感神経が優位になると汗が出やすくなるのですが、ボトックスは交感神経が汗腺へ情報伝達するのを邪魔する効果があります。

ボトックスが効果を発揮している時は、緊張状態になっても脇汗が出にくくなるのです。

健康保険を使って行うボトックス注射は当たり前になってきてますがどこのクリニックでも値段に大きな差はなく、3割負担の方で3万程度です。

麻酔を使う場合は麻酔代もかかるのでもう少し高くなるでしょう。

保険が使えても、それなりに高い治療方法になりますね。

誰にでも保険が適用されるわけではないので注意が必要

ボトックス治療が健康保険でできるのは重度の原発性腋窩多汗症の方だけで足や手の多汗に悩んでいる人も、ボトックス注射は健康保険が使えません。

程度が軽いと診断された人や、脇汗以外の原発性多汗症に悩んでいる人がボトックス治療を受ける場合は10万円以上かかってしまうことになります。

また脇汗のみが保険対象なのです。

保険が使えてもそれなりの値段になってしまうボトックスですが、効果は永久的なものではなく、平均的には半年程度で長くても1年は持ちません。

人によって効果の持続時間には差があり、4~8ヶ月程度となることが多いです。

そのため効果がみられなくなったら、またボトックス注射を行う必要があり、継続して治療を行う場合は金銭的な負担は大きなものになりますし、2回以上行うと手術のほうが金額的には安く付くことになります。

それでもボトックスを注射してもらう時間は長くてもせいぜい30分程度で、クリニックへの移動時間や診察にかかる時間を含めれば数時間程度で済みます。

手術に比べれば手軽にできるのがボトックス治療のメリットです。

数時間程度の時間を使って、長ければ半年以上脇汗の悩みから開放されるというのは非常に魅力的ですよね。

塗り薬に比較しても手間が少なく長い時間効果が続き、塗り薬では効果が出なかった人でも効果が出やすくなっています。

ボトックス治療にかかる金額は決して安いものではありませんが、比較的長期間効果が期待でき、治療時間も短くて済むボトックス治療は非常に人気の高い脇汗治療方法です。

健康保険が使える脇汗手術はどんなもの?

健康保険が使える手術
塩化アルミニウム溶液もボトックス注射も、継続して使う必要がありますが、一度の治療で永久的な効果が期待できる方法が、やっぱり手術です。

どんな手術かというと、脇の下をメスで開いて、汗腺を切除するというものです。

どんなに腕の良い医師が行う場合でも全ての汗腺を切除することはできませんが、汗腺の数そのものが減れば、汗の量も減るというわけですね。

もう一生脇汗に悩まなくて済むかもしれない、そう考えると手術は非常に魅力的な治療方法です。

ですが、実際手術となると手術後のケアに時間がかかるため、手軽には受けられないというのが現状です。

多汗症の手術は美容クリニックで行われることも多いので、なんとなく簡単な手術というイメージを抱く人もいるのですが、実際にはかなり大変なことが多い手術です。

手術そのものは日帰りでできる程度、手術時間もそれほど長くはないのですが、術後のケアに慎重を要します。

ダウンタイムって?手術後のケアはどのくらい大変なのか

実際手術を受ければ、シャワーを浴びるどころか数日は着替えすらままなりません。

切開して縫った傷跡が開かないよう固定するので、腕を上げることができません。

肘から下は動かせるので軽度な事務作業程度ならできないこともありませんが、実際には日帰り手術を行って翌日から仕事に行くのは難しいです。

脇汗を気にしている人は自分の匂いを気にしている人も多いでしょうが、腕が上げられなければ髪を洗うことができません。

シャンプーせずに出社するのは精神的にも苦痛を伴うでしょうし、無理に動かすと壊死してしまう危険もあります。

社会人であれば、1週間は連続した休みが取れる人でなければ、なかなか手術には踏み切れないでしょう。

手術後、不用意に腕を動かしてしまうと、傷口が開いてしまったり、ひどい場合には皮膚が壊死してしまったりする危険もあります。

転びそうになったり、焦ったりするととっさに腕を動かしてしまうケースが多いので、手術後はできるだけ何もせず、じっとしている方が安全です。

特に両方の脇を一緒に手術した場合は、身の回りの世話をしてくれる人がいる場合大変です。

一人暮らしの場合は入院しないとダウンタイムの間かなり大変な生活になると思います。

それでも入院まではしたくない場合は、家に引きこもって、家事も必要最小限で済むように用意しておき、あとは腕を動かす必要がない暇つぶしのDVDなどを揃えておくと良いでしょう。

健康保険の適用となり、一生脇汗の悩みから開放される手術ですが、脇汗の手術は時間を確保できる人でなければなかなか踏み切れません。

ダウンタイムは意外と長く、想像より不自由になることをしっかり考えて選択しましょう。

あきらめるのはまだ早い!休みが取れなくても脇汗の手術に挑戦できる

休みがなくても手術できる?
もう一生脇汗に悩まなくて済むかもしれない、そう考えると手術は非常に魅力的な治療方法です。

ですが、実際手術となると手術後のケアに時間がかかるため、手軽には受けられないというのが現状です。

時間が取れない場合はあえて健康保険を使わない手術という方法もあります。

メスを使わない方法なら手術後の負担も少なくなる

メスを使わない手術なら、週末を使って治療することも可能なのです。

代表的なものが、ミラドライと呼ばれるメスを使わない脇汗手術です。

これは電磁波を使って汗腺にダメージを与えるもので、皮膚を切り開く必要がないため術後に腕を固定する必要もなく、激しい運動はできないものの手術の翌日から日常生活にはほぼ影響なく動くことができます。

もちろん抜糸も必要ないので、問題がなければ手術後クリニックに通う必要もありません。

施術も1時間程度と、非常に手軽にできる脇汗の治療方法です。

またミラドライより施術には時間がかかるものの、よりダウンタイムの負担が少ない治療方法がサーミドライです。

こちらもミラドライ同様メスを使わず傷が残らない手術で、ミラドライは施術後に腫れてしまう可能性があるのに比べて、ほとんど腫れる可能性もありません。

ミラドライとの違いは、非常に細い管を皮膚に挿して、皮膚の内側から熱を加える点です。

表皮にはほとんど影響がないのでダウンタイムもほとんどないというわけです。

これらの脇汗手術は、圧迫固定されないため仕事を休めない人でも受けることができますし、ダウンタイムが短く切開して汗腺を切除する方法に比べて体への負担も小さくなります。

また傷跡が残らないので、美容的な面を気にする人にとっても大きなメリットがあるでしょう。

ワキガへの効果もあるなら試してみたくなる

そしてミラドライとサーミドライは、どちらも脇汗だけではなく、ワキガにも効果があることも長所です。

実のところ健康保険でできる脇汗の手術は、ワキガの手術とほぼ一緒です。

ただ切除する汗腺が異なるだけで、同様の術後ケアが必要になる手術です。

では脇汗の手術は、匂いの軽減もできるかというと、腋臭症と多汗症の手術は、切除する汗腺が異なります。

手術時にできるだけ両方の汗腺を取り除いてくれるかはそのクリニック、執刀医次第になるのであまり期待はできません。

長い休みが取れない、お金がかかっても傷口を残したくない、そして汗が多いだけではなく匂いも気になっているという人におすすめです。

塗り薬、ボトックス、手術が主な治療方法でこれらの治療で効果がみられない場合やできない場合などは内服薬も用いられます。

脇汗は治療できる病気です。

まずは何らかの治療に挑戦してみてくださいね。

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