年を取ると汗が増える!?更年期と深い関係があるって知ってました?

更年期と深い関係

更年期と脇汗の関係は男性でも女性でも同じ

汗をかくような運動をしたわけでも、緊張しているわけでもないのに突然体が熱くなって汗が吹き出してしまう。

そんな症状が出たら、それはホットフラッシュかもしれません。

ホットフラッシュ

ホットフラッシュは、特に理由もなく体がほてり、時には大量を汗をかいてしまう症状です。

これは更年期障害でもよくみられる症状ですから、更年期になって汗が増えてしまう人は、意外と多いのです。

また更年期障害は女性がなるものだと思いこんでいる人もいますが、男性も更年期障害が現れる人はいて、女性同様ほてりや多汗といった症状が出る人もいます。

それではホットフラッシュが起こるそもそもの原因は何でしょう。

更年期に起こるホットフラッシュの原因とは?

更年期障害の原因は男女ともに性ホルモンの分泌が減ることで自律神経が乱れるからです。

ホットフラッシュは、自律神経のバランスが乱れて、上手く体のコントロールができなくなることから起こります。

自律神経の乱れは更年期以外の原因でも起こりますが、もともと更年期に当たる年齢の方は、他の年代に比べて自律神経が乱れやすい下地があるのです。

自律神経は心臓の動きや血圧や血糖、動脈など自分で意識しなくても働いてくれる神経です。

そして交感神経と副交感神経とに別れていて、交感神経が優位になっていると血圧が上がったり心臓の鼓動が早くなったりするし、逆に副交感神経が優位になると血圧は下がり心臓は穏やかになって消化器官などの働きが活発になります。

通常は緊張状態で交感神経が優位になって、リラックスしている時は副交感神経が優位になります。

しかし、自律神経が乱れると緊張する場面でもないのに動悸がしたり、頑張ろうと思っている場面なのに体がだるくなったりします。

また、夜眠るべき時間に上手く副交感神経が働かなくなると、眠れなくなってしまうこともあります。

そして体温調節は交感神経の働きによるもので、温度感知も交感神経の役目です。

周囲の気温は変化がないのに、突然暑いと感じるのは、交換神経が上手く働かなくなるからなのです。

そして体は暑いと感じれば、体を冷やそうとしますから汗も多くなってしまうというわけですね。

脇汗は緊張した時に出やすい精神性発汗のよるものが多いのですが、体温調節のための汗ももちろん出てきます。

更年期による自律神経の乱れは、自分ではコントロールできないものです。

ホットフラッシュが辛い、頻繁にあるような場合は、一度クリニックで更年期の症状を緩和できないか相談してみましょう。

ストレスは更年期障害を悪化させる要因ですから、一人で悩み続けているとさらに症状が辛くなる可能性もあるのです。

若い人でも更年期障害で汗が増える?

若い人でも更年期障害
更年期の症状としてもホットフラッシュは有名ですから、ホットフラッシュになることが増えたらもしかして更年期かもしれない……、そう疑ってしまうのはよくあることです。

ですが、年齢が若い人の場合は更年期ではないから、更年期とは異なる何かの病気だろうかと不安を感じるかもしれません。

あるいはまだ若いのにもう更年期なのだろうかと悩んでしまうかもしれませんね。

通常更年期の症状は、男性も女性も40代の半ばごろから現れやすくなり、男性の場合はかなり高齢になってから症状が出るケースもありばらつきが大きいです。

そして更年期はまだ先の話だと安心している20代や30代の男女にも、更年期のような症状が現れることがあります。

まだ更年期と呼ばれる年齢は10年以上も先なのに、ホットフラッシュが起こる場合、原因はなんでしょう。

ホットフラッシュが起こるのは、そもそも自律神経が関係しています。

自律神経が乱れる病気というと、自律神経失調症が有名ですよね。

まず自律神経失調症がどんな状態を指すかというと、特に原因となる病気が見つからないのに、体にさまざまな不調が現れる状態のことです。

症状としては

  • 体がだるい
  • やる気が出ない
  • 体や顔がほてって汗が多くなった
  • 頭痛がする

とさまざまです。

更年期障害も自律神経失調症と同じ症状が出やすいですよね。

ホットフラッシュの直接的な原因は自律神経の乱れですが、更年期障害の場合はその原因が更年期のホルモンバランスの乱れに起因していることから更年期障害と呼ばれているだけなのです。

女性の場合は、プレ更年期という言葉も使われます。

プレ更年期とは、30代くらいの年代でも更年期障害と同様の症状が起こることを指します。

卵巣機能は20代をピークに徐々に低下して行きます。

30代前半では妊娠出産に問題がないことも多いですが、実際にはその頃にはもう卵巣がゆっくりと機能が低下しているのです。

そんな年代の人が強いストレスを感じたり、体に負担のかかる無理をしてしまったりすると、ホルモン分泌量が低下して、年齢による分泌量の低下と合わせて更年期と同じ症状が出てしまうというわけです。

自立神経が乱れれば、年齢に関係なくホットフラッシュを経験します。

単純に更年期にホットフラッシュが起こりやすいのは、ホルモンバランスの乱れが自律神経の乱れを招きやすいからです。

20代、30代でもホットフラッシュで汗が増えるのは不思議ではありません。

女性のための更年期対策

更年期だから脇汗が増えるのは仕方がないと諦める前に、更年期の症状を緩和できないか試してみましょう。

更年期はまだ先という場合も、PMS症状としてホットフラッシュが出ることがあります。

【PMS症状】
精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。

とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder : PMDD)の場合もあります。

公益社団法人 日本産婦人科学会より月経前症候群(PMS)とは?からの引用です。

生理周期に合わせてホルモンバランスの変化があることが原因で、体温が上昇するからです。

そしてPMS症状が強い場合は子宮筋腫や卵巣腫瘍の可能性もありますから、これから子どもを産む年代の方もホットフラッシュや腹痛がひどいなどの症状があれば受診しましょう。

更年期障害の治療は、減少したホルモンを補充する方法が代表的で、こちらはホットフラッシュにも効果が高い治療方法でもあります。

卵巣で作られるホルモン、エストロゲンを補充することが多く、黄体ホルモンプロゲステロンは子宮内膜症がある人などに必要に応じて補充する形になることが多いです。

同じくホルモンを補充するという意味では低用量ピルでも行えますが、ピルにはどちらのホルモンも含まれますし、ピルには血栓症になりやすいという副作用があり年齢が上がるほどそのリスクも大きくなるからです。

40代以上の場合の処置方法について

40代以上の処置方法
40代以上にもピルを処方してくれるクリニックはありますが、それでも喫煙者や高血圧症の人、標準体重を超えている人などは難しいです。

更年期の場合は補充する量は必要最小限にというのが基本ですから、更年期障害の治療で低用量ピルを使うことはまずありません。

40歳以上の場合は、まずピルが処方されることはないでしょう。

補充方法は飲み薬か貼り薬がほとんどです。

また更年期障害の治療で使われる薬は、健康保険が使えます。

PMSの治療の治療でもホルモンを補充することは多く、こちらの場合は低用量ピルが使われることが多いです。

PMS治療のために使う場合は、低用量ピルも健康保険が使えます。

保険が使えないのは、妊娠コントロール目的の人、美容目的の人などです。

といってもそれほど高額な薬ではないので、保険を使えないピルであってもそれほど大きな負担にはなりません。

ホルモンを補充するメリットは、ホットフラッシュが軽減するだけではありません。

生理前に吹き出物やニキビなどができやすい人は改善効果があり、肌が綺麗になることもあります。

そして通常更年期に入ると骨を丈夫に保つホルモンが減るので骨粗鬆症になりやすいのですが、それを防ぐことができますし、ある程度骨密度が低下している人でも骨折しにくくなります。

自分の意思ではコントロールできないホルモンの分泌を薬で補うことで、ホットフラッシュや脇汗の増大を防ぐだけではなく、女性が活き活きと活動できる手助けをしてくれます。

男性のための更年期対策

男性の場合、女性より症状と発症する年齢に差があります。

男性の場合、女性のように急激にホルモンの分泌が減少はしないことが多いので特に更年期障害を意識することなく過ごせる人も多いですし、かなり高齢になってから更年期障害に悩まされる人もいます。

それでいて、男性ホルモンの減少には個人差も大きいものですから更年期障害によって非常につらい状態になる人もいます。

男性の更年期障害も、女性と同じくホルモンが関係しています。

男性の場合はテストステロンというホルモンが年齢とともに減少し、自律神経が乱れてしまいます。

男女問わず、自律神経が乱れるとうつ状態になったり、交感神経が活発になってホットフラッシュが起きたりします。

そのため男性の更年期でも汗の量が増えるのは何ら不思議なことではないのです。

汗以外にも、

  • うつ症状が出てやる気が出ない
  • 不安を感じやすい
  • 集中力が続かない

といった症状が出て仕事に影響してしまうことも多いです。

前立腺のトラブル、性欲の低下もよくみられる症状です。

男性の更年期障害は悪化しやすいと言われていますから、早めに治療を始めましょう。

男性の更年期障害の治療はどこで行えばいいの?

では、そもそも男性の更年期障害はどこで治療を行えばいいのでしょう。

男性の場合は、自分が通える場所に男性更年期の治療ができる外来があればそちらを受診しましょう。

男性更年期治療、メンズヘルスなどで検索すればどの都道府県にお住まいでも数件はヒットするはずです。

男性更年期治療が可能なクリニックでは、男性ホルモン補充療法を受けることができます。

注射剤エナント酸テストステロンは健康保険が使えますから、まずは自分の不調が更年期障害によりものなのかを調べてみてもらってください。

テストステロンの減少は血液検査で調べることができます

男性更年期の治療を行っているクリニックが近くにないようなら、症状に合わせてどのクリニックに行くかを決めると良いです。

前立腺のトラブルがある場合は泌尿器科です。

泌尿器科もテストステロン検査が行えますし、男性ホルモン補充療法を受けることができるところも少なくありません。

そしてうつ症状がある、ボッーとしてしまい集中力が続かないなどの症状が強いなら、心療内科や、精神科などです。

疲れやすく元気が出ないという症状が強いなら内科でよいでしょうし、関節や体の痛みを感じるなら整形外科にまずは行ってみてください。

男性の場合は更年期障害が仕事に影響してしまうことが多く、強いストレスでさらに自律神経が乱れやすくなります。

ホットフラッシュは更年期障害以外でも起こる

更年期障害以外でも起こる
もともと脇汗が多い人が、さらに脇汗が増えてしまうというケースがあります。

若いころは気にならなかったのに急に脇汗が気になってきたという場合は、更年期が影響しているだけではなく、その影に病気が潜んでいる可能性がります。

更年期障害だから我慢してやり過ごそうと考えて、重大な病気を見逃してしまわないよう注意してくださいね。

更年期だから汗が増えただけだとは考えず、他にも病気の影響がないかを十分に調べましょう。

汗が多くなってしまう病気とその症状とは・・・

次は汗が多くなってしまう病気を紹介していきます。

自律神経失調症

自律神経失調症と更年期障害の症状はほぼ同じです。

ホルモン分泌の減少以外では、強いストレスや生活サイクルの乱れ、くよくよしやすい、神経質など性格的なものなどが原因になりやすいです。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症も多汗症の原因になる病気です。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうもので、新陳代謝が活発になりすぎる病気です。

若い女性がかかりやすく、体が暑いと感じ、汗が増えます。逆に甲状腺機能低下症になると汗が出にくくなります。

糖尿病の自覚症状

糖尿病の自覚症状で、汗が増えることは多いです。

そもそも糖尿病は上手く自律神経が機能しないため起こるからです。

また血糖値を下げる薬を飲んでいると低血糖になってしまうことがあるのですが、低血糖も症状として汗が出ることが多いです。

高血圧

高血圧は更年期頃から増えてくる病気で、血圧が上昇するとのぼせが症状として現れることがあります。

ホットフラッシュが多い人は血圧が高めであることも多いです。

高血圧のリスクを高める喫煙ですが、更年期の女性の場合喫煙者は非喫煙者よりホットフラッシュになりやすいこともわかっています。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は脇汗だけではなく寝汗がひどく増えてしまうことが多いです。

リンパ節腫大は触っても痛みを感じませんが、リンパ節が腫れると血管や神経なども圧迫します。

更年期

更年期は自律神経の乱れからホットフラッシュが起きやすく、脇汗を含めて汗の量が増えやすい状態です。

ですが更年期障害の場合は、治療をせず我慢をしてしまう人も多いので、更年期のせいだからと病気を見逃してしまう危険があります。

また若い年代でもホルモンバランスが崩れることはありますし、自律神経が乱れればホットフラッシュは起こります。

そして更年期が気になる年齢の方は、同時に生活習慣病のリスクも高まる年齢です。

急に汗が増えた場合は、病気が潜んでいないか慎重に見極める必要があります。

更年期の症状は治療できますし、どんな病気も早期発見できるほど治療は有利になります。