変色する原因はアポクリン汗腺をまず疑え
特に白いシャツを着ていると起こりやすい、脇の下の変色。
いつもきちんと洗濯しているのにうっすらと脇の下が黄ばんでいて、不潔に見えるため他のシミより恥ずかしく感じてしまいますよね。
既にお察しの通り、衣服に起こる脇の下の変色は、脇汗が原因。
脇の下は風通しが悪く汗をかきやすいうえ、脇のムダ毛を処理していない男性等の場合は蒸れて更に汗をかいてしまいます。
とは言え例えば額に浮いた汗をハンカチで拭ってみれば一目瞭然ですが、本来汗は無色透明。
ではなぜこれが衣服に着くと変色させてしまうのかと言うと、その汗の種類と関係があります。
そもそも私たちの身体には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類の汗腺があります。
体の至る所にあって主に体温を調節するために発汗します。
例えば夏の暑い日や運動、唐辛子のような辛い物を食べた後などにかく汗はこのエクリン汗腺から出るもので、これによって体内の熱を発散し一定の体温を保てるようになっているわけですね。
脇の下や陰部などに集中して存在し、今のところ正確なところは分かっていませんが、恐らく異性を惹きつけるフェロモンを分泌するために存在しているのではないかと言われています。
この2つの汗腺のうち、変色の原因となっているのはアポクリン汗腺の方です。
エクリン汗腺から出る汗はその殆どが水分で、無色透明で無臭。
わずかにミネラルなども含まれているため時間が経つとアルカリ性に傾いて細菌が繁殖し、汗特有の酸っぱい匂いをわずかに発しますが、衣服を黄色く変色させることはありません。
一方アポクリン汗腺には脂質やタンパク質、ミネラルの他に「リポフスチン」と呼ばれる成分も含まれており、これらに細菌が取り付いて汗や皮脂を分解し強い刺激臭を発するうえ、リポフスチンには黄ばみの元となる成分が含まれているため、衣服に付着した後キレイに除去されなければやがて酸化して黄色く変色してしまうのです。

背中など体全体に汗をびっしょりかいても、何故か脇の下だけが変色してしまうのは、このアポクリン汗腺のせいだったんですね。
アポクリン汗腺に含まれるリポフスチンが黄ばみの直接の原因となっているわけですが、リポフスチンも衣服に付いたからと言ってすぐに変色し始めるわけではありません。
前述の通り付着後長時間放っておくと酸化して黄色くなっていくわけですから、黄ばみを防止したいならすぐにリポフスチンをキレイに洗い落としましょう。
短時間着ただけだから、見た目汚れていないから、と思って洗わずに放置してしまうと、頑固な黄ばみを作ってしまうことになりますよ。
制汗剤やデオドラントスプレーが脇下の黄ばみ・変色の原因に?!
「服の脇下に黄ばみができる場合、ワキガを疑った方が良い」とよく言われますよね。
確かにワキガの原因となっているのは「アポクリン汗腺」で、ここから出る汗には脂質やタンパク質、ミネラルなどの成分が含まれていて、これが脇に存在する細菌によって分解されるとあの強いワキガ臭を発します。
そしてその同じアポクリン汗には「リポフスチン」と呼ばれる別の成分が含まれており、酸化すると黄色く変色するという特徴を持っているため、ワキガの人の服は脇下が黄色く変色しやすいと言われているわけです。
だからといって、「脇下が黄ばんでいる=ワキガ」とは限りません。
アポクリン汗腺による汗以外にも、脇下が黄色く変色してしまう原因があるからです。
アポクリン汗以外の脇下の黄ばみの原因、それは制汗剤やデオドラントです。
両者とも汗のニオイ防止に使用されるアイテムで、制汗剤は汗自体を一時的に抑えるもの、デオドラントは雑菌の繁殖を抑えることでニオイのガスを作らせないようにするものです。
どちらにもその有効成分として「塩化アルミニウム」が配合されているのですが、残念なことにこの有効成分が変色の原因となってしまうことがあるんですね。
抑えているのにどうして起こるのか
例えば制汗剤の場合、この塩化アルミニウムがゲル状の蓋のようになって、汗腺をふさぎ汗を出さないようにします。
同時に既にかいてしまった汗と結びついて化学反応を起こし、黄色いシミとなる化合物を作り出してしまいます。
汗はかきにくくなっても黄ばみはできやすくなってしまうというわけなんですね。
ただしこれは全てのデオドラントや制汗剤にあてはまるわけではなく、人によって黄ばむ制汗剤やデオドラントは異なると言われています。

これは人が持つ皮膚の常在菌や肌の状態がそれぞれ異なっているためで、これにより制汗剤やデオドラントの反応の仕方も異なるのと言われているようです。
実際、制汗剤やデオドラントの中にも、「場合によっては衣服の黄ばみの原因になることがあります」と注意書きしている商品が沢山ありますよね。
また、制汗剤は前述の通り制汗をふさぐ、つまり毛穴をふさいでしまい皮脂や汚れが詰まって黒ずみの原因となってしまうこともあります。
せっかくムダ毛のお手入れをしていても、これでは台無し。
ノースリーブの服が着られなくなってしまい、袖ありの服を着ると今度は服が黄ばんでしまう……という最悪の板挟みになってしまう危険性がありますね。
従って、脇下の変色に気が付いたなら、まずは制汗剤やデオドラントの使用をストップしてみましょう。
原因がこれだと分かったなら、メーカーを変えてみたり汗取りパッドなど別の脇汗対策を講じてみると良いですね。
脇下の頑固な変色を自宅で落とす方法は漂白剤を使う
襟元や袖の先など、汗や皮脂の汚れが付着しやすくかつ落としにくい部分は、洗濯していても徐々に汚れが蓄積し、黒ずんできます。
更に黒ずみは放っておくと酸化して黄ばみへと変色していくため、できるだけ早い段階で汚れを落としてしまうのが得策です。
例えば皮脂による汚れであれば洗濯石鹸で擦り洗いすると良いですね。
洗濯石鹸は無添加のものが多く肌に優しいうえ、洗浄力も高いので洗濯機では落ちない汚れもスッキリキレイに落としてくれます。
一方、脇下にできる黄ばみは皮脂や普通の汗によるものではなく、「アポクリン汗腺」から出る脇汗が原因の変色で、これは洗濯石鹸などで簡単に落ちる汚れではありません。
というのもアポクリン汗には「リポフスチン」と呼ばれる色素成分が含まれているため、これが衣服について酸化してしまうとまるでインクを塗布したかのようにこびり付いて、普通の方法では落ちないんですね。
そのためクリーニング店で特別に脇下の黄ばみを落としてもらうようお願いするという方法もあるんですが、実は自宅でもこの頑固な黄ばみを落とす方法はあるんですよ。
自宅でできるその方法とは!?
前述の通り、リポフスチンによる変色は普通の方法ではなかなか落ちないため、最初に漂白剤を使いましょう。
漂白剤には塩素系と酸素系があり、非常に漂白力が高いのは塩素系の方です。
ただ、あまりにも漂泊力が高いので、カラーシャツなど色の入っている服に使うと色落ちしてしまいます。
塩素系は真っ白い服のみに使用するようにしましょう。
衣服についているタグには、洗濯やお手入れの際に使用できるものとできないものとが表示されています。
ここにもし「エンソサラシ」と書かれた三角フラスコのようなマークに×マークが入っているなら、残念ながら塩素系漂白剤は使用不可、ということになります。
一方、漂白剤が使用できる衣服であれば、まず液体洗剤を脇下の黄ばんだ部分に直接かけ軽くもみ込み、40~50℃くらいのお湯を貼った洗面器に漂白剤を10mlほど溶かして付け置きします。
お湯の温度25℃くらいまで除菌効果を発揮するため、お湯が冷めるまでそのまま放置しましょう。
季節にもよりますが、大体1時間ほど置くと良いですよ。
その後洗面器の漂泊液も一緒に洗濯機に入れて普通に洗いますが、要らなくなった歯ブラシなどで変色部分を更に擦り洗いしておくともっと効果的です。
付け置きするとちょっとゴワゴワ感が出るので、気になる人は柔軟剤も入れて洗うと良いですね。
シャツに着いた頑固な黄ばみ・変色は重曹で洗い落とす!
ふと気が付くといつの間にかできている、シャツの黄ばみ。
特に白シャツの場合脇下や襟だけ変色していると目立ってしまってこのままでは着られませんよね。
この、いつの間にかできてしまう黄ばみの原因は、汗に含まれる皮脂が酸化してできたもの。
毎日洗濯機で洗っていても実は完全には落ち切っておらず、少しずつ蓄積されて黄ばみとなって現れるんですね。
そのため普通の汚れより頑固で洗剤を付けて擦り洗いしても簡単には取れません。
そこで試して欲しいのが、重曹を使った裏技。
重曹と言えば茶渋落としやシンク下の掃除などにも使える万能アイテムとして知られていますが、これは重曹に油汚れを落とすという特徴があるため。
前述の通り服に部分的にできる黄ばみは汗の皮脂が原因ですから、これも重曹で落とすことができるというわけなんですね。
重曹単体でも汚れが落ちる可能性はありますが、頑固な変色は他のアイテムと組み合わせて使用するのがお勧めです。
食器用洗剤との組み合わせ
まずは重曹と同じく油汚れを落とすのが得意な、食器用洗剤と組み合わせてみましょう。
やり方は簡単、
- 重曹と食器用洗剤をパレットのような小さな容器に1:1の割合で入れ、ペースト状になるまでよく混ぜます。
- 出来上がった重曹洗剤ペーストを黄ばんだ部分にタップリとかけ、重曹の粒を押し付けるようにしてスポンジで擦りこませます。
- 10分ほど放置してからそのまま普通に洗濯機に入れて洗濯しましょう。
- 食器用洗剤によって溶けだした脂分が重曹によって分解され、キレイに落ちて洗い流されます。
漂白剤を利用してみる方法
重曹+食器用洗剤でも落ちない場合は、食器用洗剤よりさらに強力な漂白剤を利用できます。
漂白剤には漂泊力の強い「塩素系」と、もう少しマイルドな「酸素系」があります。
ただ、塩素系漂白剤は強すぎて色落ちしてしまったり、他の酸素系洗剤などと混ざると有毒ガスが発生することもあります。
まずは安心して使える酸素系漂白剤から試してみましょう。
- 洗面器に40℃くらいのお湯を入れ、重曹と漂白剤を同量入れて溶かします。
- この重曹漂白剤液に衣服の黄ばんだ部分だけを浸けて1時間~1晩放置。
- その後そのまま重曹漂白剤液ごと洗濯機に入れて洗います。
これで大抵の黄ばみは落とせるはずです。
やっぱり落せなければプロに頼む
重曹+漂白剤でも落ちない変色は、恐らく皮脂の酸化による汚れではなく汗に含まれる「リポフスチン」という色素成分が衣服に染みついてしまったためと思われます。
「リポフスチン」はワキガの人に多い「アポクリン汗腺」からでる汗に含まれている成分で、脇下の黄ばみの場合は特にこの可能性が高いですね。
どうしても落ちない汚れは、染み抜きの上手なクリーニング店にお願いしてみましょう。
服の変色は予防が肝心!お勧めの予防法は?
シャツにいつの間にか沈着してしまっている黄ばみ。
特に脇汗による黄ばみは「リポフスチン」という色素を作ってしまう成分によるものなので、一度着いてしまうとなかなか落ちてくれません。
漂白剤や重曹を使えば自宅で落とせるかもしれませんが、洗濯の際に一々そんなことをしていると面倒ですし、それで落ちなければクリーニング行き、コストまでかかってしまいますよね。
ですから服が変色する前に、予防策を講じる方がはるかに手間もコストも省けてお勧めなんですよ。
そもそも汗を服につかないよにする
シャツの変色予防の第一歩は、そもそも汗が服につかないようにすることです。
例えば脇汗が付かないように、脇汗パッドを使用している人もいますよね。
あるいは脇汗パッドの付いているインナーを選ぶこともできます。
いずれにしても汗が衣服に着く前にパッドに吸い取ってもらう、という原理ですね。
ただ、脇汗パッドの場合
- 服によっては透けて見えてしまったり
- 使用中にシールがずれてしまったり
といった危険性もあります。
脇汗パッド付の服の場合は、例えば職場で着替えなければならない時なんかに周囲に気づかれてしまいそうで心配……なんて人もいるかもしれません。
そんな場合は、服を着る前に肌にベビーパウダーを塗っておくという方法が良いかもしれません。
こまめな選択で防止する
次にできる変色予防としては、服をこまめに洗濯する、ということです。
汗をよくかく夏なら一度着ただけでもすぐに洗濯するかもしれませんが、汗をかきにくい季節だと「まだ大丈夫だよね~」と洗わずに保管してしまう人、結構多いんじゃないでしょうか。
しかし自覚はなくても人は意外に汗をかいているもの。
少量とは言え付着した汗は時間と共に酸化して衣服を変色させます。
時間が経てばたつほど頑固にこびり付いてしまうので、まだ付着して間もない落としやすい時点ですぐに洗濯するようにしましょう。
黄ばみが出る前から選択する方法をかえる
更に毎日の洗濯を少し工夫するだけでも、黄ばみが定着するのを防ぐことができますよ。
例えば変色が起きやすい脇の下や襟足、袖口などに洗濯用固形石鹸をこすり付けてから洗濯機に入れたり、洗濯機で洗う際に油汚れを分解してくれる重曹を使用したりすれば黄ばみの予防になります。
重曹を使った洗濯方法は簡単、洗剤と一緒に重曹を1カップ洗濯機に入れるだけです。
まだ目に見えて変色が起きていなうちから対策を取るのがポイント。
肉眼では見えていないだけで、実際には普通の洗剤だけでは落とせない皮脂汚れがすでに沢山ついているんですよ。
皮脂の多い男性や若い人は特に注意してくださいね。